読書メモ

恩田陸『象と耳鳴り』を読んだ。このひとの短編集を読むのは『光の帝国』以来かな。『六番目の小夜子』の関根秋のお父さんがメインでいろいろな謎を解決していくお話。前半は、推理よりも作品の曇ったような重い雰囲気にあてられたのか、1話読み終えて次の話へ進むのが、少し力が要ったのだけども、後半に行くにしたがって、推理本来の楽しさに重点が移っていったような気がして良かった。お気に入りは「待合室の冒険」と「魔術師」、「机上の理論」。
「魔術師」は『月の裏側』のような地方都市の描写が好み。「机上の理論」は酒の席で推理を展開するという設定のそれが短くまとまっているところ。関根兄妹のやりとりが楽しい。