感想

中沢けい「うさぎとトランペット」
小5の女の子、宇佐子が少し大人びた転校生ミキちゃんと出会って、ウインドオーケストラに関わって、いろいろな物事を「聞いて」成長していくというお話。
心象を表す情景描写が多いのだけれども、そのほとんどが、うまく引っかからないせいで、ただでさえ長いお話が更に長く感じてしまったのは残念だなあと思った。ある事象に関して解決しないまま、先へ先へ進んでいってしまうのもちょっとついて行きにくい。ミキちゃんの家へ寄り道してココアを飲むところとかは惹かれるのだけれども、全体を通して薄味だなあと感じた。

三崎亜記「となり町戦争」
ゲルゲの面白くないらしいという忠告があったものの、タイトルに負けて読まずにはおれなんだ。結果は面白くない事はない。ただし、タイトルから想像する中身とは違う。ラーメン屋に入って味噌ラーメンを頼んだのに、幾分美味いカレーが出てきたような気分である。ものすごく美味いというわけではないところも味噌である。登場人物の生気の無さみたいなのが全体を覆っていて、割かし好きな雰囲気であるし、上記のものとは正反対に情景描写にグイと引き込まれるものがあって気持ちがよい。上のは読むのに10日以上かかったがこっちは2日で読んだ(厚さは倍くらい違うが)。まあタイトルとおりの部分については、もっと娯楽を求めてたのに、なにやらスかしたラブストーリーのようでなんとも。そもそも、スかしたラブストーリーなら読もうとも思わないのである意味よかったのかなあとも。ラブストーリーとも言い切れんし、えーとまあ好きな作品の部類かと。でもこの人の他の作品を読みたいかといわれると一寸。